中国が「日本の軍国主義復活」を非難? ――中国による対日外交圧力は、なぜ今や効力を失いつつあるのか


2026年2月5日21:20

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最近、中日関係に関心を持っている人であれば、中国がこのところの外交活動において、常に「日本の軍国主義復活を防ぐ」というテーマを前面に掲げていることに気づいているだろう。ロシアや北朝鮮といった従来の同盟国だけでなく、ラテンアメリカやアフリカにおける中国の権威主義的な友好国との外交の場でも、同様の言説が繰り返されている。さらに、先日行われた習近平国家主席と韓国の李在明大統領との会談においても、この論点は何度も強調された。

こうした一連の動きの発端は、高市総理大臣が国会での質疑応答において、「台湾有事」の定義について明確な説明を行ったことにある。もっとも、それ自体は特別に挑発的な行為だったわけではない。しかし結果として、中国が最も直視したくない現実を浮き彫りにすることになった。それは、中国が台湾問題を武力によって解決しようとした場合、日本やアメリカなどが直接介入する可能性が高いという現実である。

この発言を受けて、中国は経済制裁やさまざまな外交的措置を相次いで打ち出し、日本に対する圧力を強めた。さらに、日本の首相に対して「不適切な発言を撤回すべきだ」と公然と警告する姿勢も示した。しかし、こうした圧力は最終的にほとんど効果を上げなかった。

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なぜ今回は、これまでとは異なる状況や反応が生じたのだろうか。本稿では、歴史的な文脈を手がかりにこの問題を整理し、中国の一連の行動が日本に対して結果的に逆作用をもたらしているのかどうかを検討していく。

中国が繰り返してきた警告の歴史

中国が経済制裁という手段を用いて日本を屈服させようとした最初期の例は、2010年までさかのぼることができる。当時、日本の海上保安庁は尖閣諸島周辺海域において、違法に越境操業を行っていた中国籍漁船を拿捕した。これに対し、中国政府は即座に反発し、日本に対してレアアースの輸出規制を発動するとともに、日中政府高官の会談を延期するなど、複数の外交的圧力措置を講じた。

当時、世界のレアアース生産量の約93%を中国が供給しており、日本の製造業も約90%を中国産レアアースに依存していた。このため、中国による制裁は極めて大きな影響力を持ち、結果として日本政府は拘束していた船員を速やかに釈放し、中国側に対して謝罪せざるを得ない状況に追い込まれた。

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この事件以降、日本政府は中国が尖閣諸島に対して強い野心を抱いていることを明確に認識するようになる。そこで2012年、日本政府は私人が所有していた尖閣諸島の土地を買い上げる形で国有化する決定を下した。しかし、この措置は中国政府の強い反発を招き、中国は軍艦や海警船を常態的に沖縄周辺および尖閣諸島周辺の海域に派遣するようになった。これにより、日本政府もまた、自国の排他的経済水域や領海を守るため、海上自衛隊や海上保安庁の艦船を継続的に展開せざるを得なくなった。

こうした緊張関係は、2023年の福島第一原子力発電所の処理水放出をめぐって、さらに新たな段階へと押し上げられることになる。日本政府は、放出される処理水が国際原子力機関(IAEA)の基準を満たしていることを繰り返し説明したが、中国政府はこれを受け入れず、日本産水産物の輸入を一方的に全面禁止した。

同時に、中国国内では民族主義的な世論が煽られ、福島処理水の「危険性」が過度に誇張される状況が放置された結果、日本に対する敵意や憎悪表現が拡散していった。こうした反日感情はその後も沈静化することなく、中国政府によって対日圧力を支える世論基盤として、今日に至るまで利用され続けている。

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中国自身によって次第に弱体化していく警告

これまでの経緯を振り返ると、中国政府による日本への外交的・経済的圧力は、一般的には「成功例」と受け止められてきた。最終的に日本政府が譲歩や謝罪に追い込まれた事例が続いたことで、中国は日本の姿勢を挫いたかのような評価を得てきたからだ。しかし、こうした手法は、高市早苗氏が首相の座に就いて以降、もはや過去と同じ効果を発揮していない。では、それはなぜなのだろうか。

その理由は、大きく分けて二つあると考えられる。

第一の理由は、高市首相自身が明確な対中強硬派であるという点だ。彼女の選挙区は、長年にわたり中国人観光客によるトラブルに悩まされてきた地域でもあり、中国政府に安易に妥協しない姿勢を支える十分な民意基盤が存在する。加えて、近年の日本社会では、中国が使い分けてきた「鞭と飴」の対日政策に対する反発が着実に広がっており、有権者の間では、むしろ中国に対して毅然とした態度を取る政府を求める声が強まっている。

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第二の理由は、日本が中国による経済制裁に対して、新たな耐性と対処手段を身につけつつあることだ。たとえばレアアースの問題に関して言えば、材料科学分野の急速な進歩により、日本の対中依存度はかつての約93%から、現在ではおよそ60%程度まで低下している。さらに、中国向け輸出に依存していた市場についても、米国、韓国、台湾など、他の国や地域によって代替されつつある。

こうした構造変化の結果、中国がこれまで有効だと信じてきた警告や制裁は、次第にその威力を失い始めている。中国自身の行動の積み重ねが、結果として警告の効力を削いできた――それが、現在の中日関係に見られる最も大きな変化だと言えるだろう。

以上の歴史的な流れを総合的に見ると、中国による日本への警告や制裁措置は、過去には一定の圧力と効果を発揮してきたものの、日本社会や政府の姿勢の変化、さらには産業構造の調整が進むにつれて、次第に従来の威嚇力を失ってきたことが分かる。高市首相の強硬な立場は、中国からの圧力に対して日本がもはや容易に譲歩しない段階に入ったことを象徴しており、同時に、国民世論の支持がその政策に強い正当性を与えている。

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一方で、日本の対中経済依存の低下は、中国が経済制裁を外交手段として用いる際の有効性を確実に弱めている。こうした構造的変化の中で、従来型の威嚇や圧力は、もはや決定的な影響力を持ち得なくなりつつある。

今後、地域の安全保障環境の変化や国際秩序の再編が進むにつれ、中日関係は引き続き不安定さと調整の過程を伴うことになるだろう。日本が国家利益と地域の平和をいかに両立させるのか、また中国が自らの外交戦略をどのように修正していくのかが、両国が安定した協力関係へと進めるかどうかの鍵となる。

いずれにしても、威嚇と制裁だけでは、もはや今日の日本を動かすことは難しい。双方が対話と相互理解を重視し、東アジアの長期的な発展に向けた道筋を共に模索していくことが、これまで以上に求められている。


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