中国の対日情報戦はすでに始まっているのか?


2025年5月9日11:00

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ここ半年の間、東アジア地域は徐々に不穏な空気に包まれつつあり、まるで冥王星が新たな星座に入ったかのように、各国間の摩擦が鮮明になってきている。とりわけ中国は、外交による影響力の拡大に加え、諜報員を通じた情報収集活動にも力を入れており、対外的な影響力の拡張を着実に進めている。 

ところが、こうした情勢に対し、日本の備えは極めて脆弱であることが、相次ぐ報道から明らかになっている。現時点で日本には、スパイ行為を明確に処罰できる包括的な法制度が存在しない。このような状況に、我々はどう立ち向かうべきなのだろうか? 

中国による日本への浸透 

昨年初、警視庁公安部は、東京・秋葉原に設置された中国の「海外警察拠点」を摘発したと発表した。その責任者は、福州同郷会の幹部であり、報道によると、呉姓の容疑者は自民党の松下新平議員に「ハニートラップ」で接近し、議員秘書の身分を得て、国会議事堂に出入りしていた。 

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最終的には、新型コロナ関連の給付金を不正受給した詐欺容疑で逮捕されたが、この事件は対外勢力による内部浸透の深刻さを物語っている。 

もう一つ注目すべき事件として、東京でレストランを経営していた元中国大使館の書記官が、給付金不正受給の容疑で逮捕された件がある。彼はインタビューで、中国大使館の職員が常連客であることを誇らしげに語っていた。 

これは単なる自慢話ではない。その店舗は、日本人・在日中国人を問わず多くの人が集う場であり、事実上の情報交換の拠点であった可能性が高い。 

店舗を拠点にしたスパイ活動 

アメリカ議会の報告書によれば、中国の情報機関は、書店や中華料理店のように人の出入りが多い場所を好み、拠点として利用する傾向があるという。 

こうした施設は表向きは商業目的のため、監視の目を逃れやすく、また大きな現金取引が日常的に行われるため、資金の受け渡しも容易だ。 

現在、日本に合法的に滞在する中国人はすでに100万人を超えており、池袋、大阪、川口市などでは定住型コミュニティが形成されている。中国人経営の店舗も無数に存在する。 

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もし中国の情報ネットワーク構築状況を数値化できるとすれば、その浸透率は限りなく100%に近いとも言える。日中関係に摩擦が生じれば、中国はすぐにでも情報戦によって日本社会を揺さぶる準備が整っているのではないか。 

今、何をすべきか? 

ここまで事態が進んだとはいえ、対策はまだ可能だ。最大の課題は、日本にスパイ行為を明確に罰する法律が存在しないことにある。 

警視庁公安部という対スパイの中枢は存在するが、摘発された人物に適用されるのは「詐欺容疑」にとどまり、「国家安全」や「スパイ活動」に関する罪名は使われていない。 

この点においては、台湾や韓国の制度に学ぶべきだ。早急に日本に適した「防諜法」の制定が必要である。 

実のところ、日本は歴史的にスパイ対策に長けていた。戦国時代には信長や家康が忍者を用いて諜報活動を行っていたし、太平洋戦争期には特別高等警察として制度化されていた。 

しかし、戦後は反戦思想の高まりにより、国民の間で「内部監視」への強い抵抗感が生まれ、その体制は解体された。 

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その結果、現代日本は中国によるスパイ行為に対して、無防備な状態にある。 

今はまだ平時だが、中国は軍拡とナショナリズムを武器に周辺国を威圧し、スパイ事件も頻発している。対スパイ体制と法整備の重要性は、かつてないほど高まっている。 

準備があってこそ、混乱と戦乱は回避できる。


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