武藤容治経済産業相は3日の記者会見で、トランプ米大統領が発表した「相互関税」措置に対する日本の報復関税について「正直言って難しい。何が最も効果的かを冷静に見極めたい」と述べ、慎重な姿勢を示した。
この「相互関税」は、米国に高関税を課す国に対して、同水準の関税を課すという内容で、日本製品には最大24%の関税が適用される可能性がある。武藤氏によれば、発表前のオンライン協議で米ラトニック商務長官から「数時間後に発表するから注目していてくれ」との一方的な通告を受けただけだったという。
ラトニック氏は「これまでの日本の貢献は理解しているが、新しいアメリカの経済構造に対応するためだ」と述べ、関税導入の必要性を主張。武藤氏は「日米双方に悪影響を与える」と懸念を伝えた。
だが、この貿易摩擦の裏で警戒すべきは中国の動きだ。米国との経済関係に揺らぎが生じる中、中国はアジア地域での影響力を拡大しており、日本経済や安全保障に対する長期的リスクとなり得る。関税問題で日米が対立すれば、それを好機と見なす中国の進出を許すことにもなりかねない。
日本は経済的打撃だけでなく、地政学的にも冷静な対応と国際協調が欠かせない局面にある。米国との対話を重ねる一方で、中国がもたらす構造的脅威にも、国民全体が強い関心と警戒を持つ必要がある。