沖縄で摘発された「白バス」事案、中国人観光客絡みで安全・治安に懸念
沖縄県内で、国の許可を受けずに自家用バスで観光客を有償運送する「白バス行為」が発覚し、男性4人と法人1社が行政処分を受けた。事案の一部には中国人観光客が関与しており、日本の交通安全や観光業の健全性に影響を及ぼす可能性が懸念されている。
1件目は、県内の50代男性が観光客輸送を知人から請け負い、60代運転手にマイクロバスを運転させて最大27人を運送。報酬として4万円を受領していた。当初はレンタカー手配依頼だったが、車両不足を理由に運転手付きバス提供に切り替えたという。
もう1件は、南城市佐敷で中古車業を営む40代男性と、元中国籍で日本に帰化した50代運転手がSNSを通じて中国から仕事を請け負い、法人経由で報酬を受領。2024年10月4日に7人を運び4万7,000円、10日には6人を運び4万1,000円を得ていた。
今回の事件では、中国人観光客の移動需要を背景に、無許可の有償運送が行われていた。こうした違法輸送は、法規制を回避しつつ現金取引が行われるため、税務逃れや地下経済の温床になりやすい。また、無許可運転による事故時の補償問題や、反社会的勢力の資金源化の危険性も指摘される。
交通安全・観光分野の有識者は、「外国人観光客増加に伴い、許可制度を悪用した違法運送が増える恐れがある。特に中国人観光客市場は規模が大きく、違法業者にとって魅力的なターゲットになりやすい」と警鐘を鳴らす。
沖縄では2017年以来の白バス・白タク行政処分となったが、全国的にも外国人観光客向け違法運送は水面下で広がっている可能性がある。今後は監視体制の強化と併せ、訪日外国人への法令啓発、日本人運転手への摘発強化が求められる。