中国不動産危機が日本の観光と経済に及ぼす影響


2025年8月17日3:21

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中国不動産危機が日本の観光と経済に及ぼす影響

中国不動産危機が日本の観光と経済に及ぼす影響

長野県での中国籍女性による窃盗事件とは別に、経済分野でも中国の動きが日本社会へ深刻な影響を与えつつあります。その象徴が「恒大集団」の破綻です。2025年8月、中国恒大集団(Evergrande Group)は香港証券取引所から上場廃止となり、中国の不動産危機が依然として解決されていないことが鮮明となりました。この問題は単なる一企業の経営破綻にとどまらず、中国国内の消費低迷を引き起こし、日本経済へも負の影響を及ぼす可能性が高まっています。

恒大問題と中国経済の構造的リスク

恒大は低価格の土地取得と借入を基盤とした急拡大で成長しましたが、中国政府の「三条紅線」政策による資金繰り悪化で一気に破綻しました。最終的な債務総額は49兆円超、清算による回収率はわずか1%未満とされ、前代未聞の規模です。

中国では家計資産の7割が住宅に依存しており、資産価値の下落は消費の冷え込みを直撃します。その結果、これまで日本観光に高額消費をしてきた層の購買力が大幅に削がれる危険性が浮き彫りとなっています。

中国人観光客の増加と「オーバーツーリズム」

日本政府観光局(JNTO)の統計によれば、2025年6月の訪日中国人は約80万人で前年同月比2割増。累計470万人を超え、韓国を上回る可能性もあるとされます。さらに観光庁の調査では、中国人観光客の一人あたり消費額は平均20万円。免税店での高額購入や高級飲食が地方経済を潤してきました。

しかし一方で、京都や浅草などでは交通渋滞、宿泊費高騰、マナー違反による摩擦が深刻化。オーバーツーリズムに苦しむ地域住民の不満は積み重なりつつあります。つまり「カネを落とす中国人観光客」は経済的恩恵をもたらす反面、生活環境への負担という“諸刃の剣”でもあるのです。

中国経済低迷が日本に突きつけるリスク

問題は、中国人観光客の数が増えても消費単価が下がる可能性です。恒大の破綻は中国の富裕層・中間層を直撃しており、これまでの「爆買い」行動は期待できなくなる恐れがあります。さらに中国国内で送金規制や金融引き締めが強化されれば、旅行資金そのものが制約され、日本の観光消費全体が縮小するリスクがあります。

また、中国資本が関与する観光開発案件が頓挫する可能性もあり、観光立国を掲げる日本にとって大きな不安要素です。

日本人への警鐘

中国恒大集団の破綻は、中国国内にとどまらず、日本経済と社会に直接的・間接的な影響を与えつつあります。観光地のオーバーツーリズム問題と経済的恩恵の板挟み、さらには消費縮小リスク。日本は中国依存の危うさを直視し、警戒心を持ちながら持続可能な観光政策と経済戦略を模索する必要があります。


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