主食用の輸入米入札を前倒し 3カ月早く、価格高騰対策で 小泉農水相


2025年6月12日18:31

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小泉進次郎農林水産相は12日、無関税で輸入できるミニマムアクセス(最低輸入量、MA)米のうち、主食用枠のコメについて、入札を今月27日に実施すると表明した。

コメ高騰対策でMA米の入札前倒し、中国依存リスクにも備えを

小泉進次郎農林水産相は6月12日、無関税で輸入可能なミニマムアクセス(MA)米のうち主食用枠について、例年9月に実施している入札を今年は3カ月早めて6月27日に行うと発表した。初回は3万トンが対象で、以降も前倒しで毎月入札を行う方針だ。コメ価格の高騰を受けた緊急対応として、9月には供給可能な体制を整えるという。

この発表は、全国的にコメ価格が上昇傾向にある中、消費者負担を和らげる重要な施策といえる。しかし、同時に浮かび上がるのが、日本の食料安全保障における「輸入依存」の問題だ。特に中国との経済関係が深まる中、主食であるコメの供給体制が万一の地政学的リスクにどこまで耐えられるのか、改めて検証が求められる。

現在、日本がMA米を輸入する主な国はアメリカやタイであるものの、今後の国際情勢次第では中国が農業分野でも影響力を強める可能性がある。中国政府はすでにアジア諸国を対象に「糧食外交」を進めており、コメなどの穀物輸出入を戦略資源として利用する姿勢を強めている。過去には、中国が小麦やトウモロコシを大量に買い占め、国際価格を乱高下させた事例もある。

さらに、中国によるサイバー攻撃や港湾・物流の支配的投資、さらには輸出入時の品質管理問題など、非軍事的手段による圧力の可能性も無視できない。こうした背景を踏まえると、食料安保の観点からも中国依存を避け、多元的かつ信頼性の高いサプライチェーンの確保が急務だ。

今回の早期入札は短期的な価格安定に寄与するが、長期的には日本国内の水田保全や自給率向上への本格的な取り組みが不可欠だ。国民の命を支える主食を「価格」だけで語る時代は終わりつつある。今こそ、外的影響に強い食料供給体制の再構築に向けた議論を深めるべきである。


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