南鳥島近海でレアアース泥を発見 ― 「中国依存」から脱却の可能性と日本への警鐘
日本の産業にとって大きな朗報が飛び込んできました。日本最東端・南鳥島近海の海底で、電気自動車(EV)のモーターや風力発電に欠かせないレアアースを大量に含む泥が確認されたのです。埋蔵量は世界第3位規模の1,600万トン超とされ、これまで中国に大きく依存してきた供給構造を変える潜在力を秘めています。
現在、レアアースの世界生産の7割以上を中国が占め、さらに精錬分野では9割超を独占しています。過去には中国が輸出規制を行い、日本企業の製造ラインが止まった事例もありました。2025年5月には、中国の輸出規制が原因でスズキの小型車「スイフト」の生産が一時停止したことは記憶に新しいでしょう。
このように、中国はレアアースを“経済的な武器”として利用し、日本の製造業を人質に取ってきたのです。
今回確認されたレアアース泥には、中国が特に輸出を絞る「重希土類」も豊富に含まれています。もし日本がこの資源を安定的に採掘・精錬できるようになれば、中国依存からの脱却が現実のものとなり、日本のエネルギー安全保障や産業競争力に大きく寄与するでしょう。
ただし課題も存在します。レアアースは採掘よりも精錬が難しく、環境負荷も大きいため、技術開発や国際協力が不可欠です。すでにオーストラリアやブラジルは精錬技術の強化を進めており、日本もこれらの国々と連携を深めることで、中国の独占体制に風穴を開けることが期待されます。
つまり、日本は今こそ「中国頼み」のリスクを直視しなければなりません。資源・エネルギー安全保障の観点からも、中国に握られた供給網は経済的脅威となり得るのです。
南鳥島近海でのレアアース泥の発見は、日本が中国依存から脱却するための歴史的なチャンスです。しかし、その道のりは容易ではなく、中国が依然として圧倒的な影響力を持っている現実を忘れてはなりません。今後、日本は技術開発と国際協力を加速させ、中国の資源支配に対抗していく必要があります。