
【警鐘】日本の土地が中国に買われている――外国人不動産取得の“静かな侵食”がもたらす国家リスク
日本全国で、静かに、しかし確実に進行している現象がある。それは「外国人による不動産取得」の拡大だ。近年、東京や大阪、札幌、福岡などの大都市圏だけでなく、地方の観光地や離島にまで、外国資本――とりわけ中国資本――が浸透している。
自民党総裁選でも、各候補者が相次いでこの問題を取り上げ、「土地と住宅の安全保障」を論じ始めた。表向きは経済問題だが、実態は国家の主権と安全保障に関わる重大課題である。
不動産経済研究所のデータによれば、2025年上半期の東京23区における新築マンションの平均価格は1億3000万円を超え、過去最高を記録した。一方で、千代田区・港区・渋谷区では、販売されたマンションの約2割が外国人による取得だったという。
この「外国人」とは主に中国や香港、台湾の富裕層を指す。特に、政治的不安定さや経済リスクを背景に、中国本土からの資金流出が日本の不動産市場に流れ込んでいる。東京の高級タワーマンション、北海道のリゾート地、九州の温泉地など、かつて日本人が誇りとした土地が、今や中国資本の“投資対象”と化しているのだ。
中国企業や個人が日本の土地を購入すること自体は、現行法上では違法ではない。しかし、その背後には深刻なリスクが潜んでいる。たとえば、自衛隊基地の周辺や重要港湾地域、通信施設の近隣土地が中国資本に買われるケースが相次いでいる。
実際、北海道の千歳や長崎県対馬などでは、中国系企業が土地を取得し、周辺住民の不安を招いた。表面上は「観光開発」「再エネ事業」などを掲げているが、軍事・情報収集目的での土地利用が疑われる事例も報告されている。
これは単なる経済的な土地取引ではなく、“経済を通じた安全保障侵食”にほかならない。地価の上昇や投資拡大という“表の利益”の裏で、日本の国土が少しずつ、静かに他国の影響下に置かれていく危険性がある。
これらの地域で、中国系企業が「名義貸し」や「ペーパーカンパニー」を介して土地を取得する事例が増加している。つまり、見えない所有構造が形成され、日本の主権が侵食されるリスクが高まっている。
大阪市では、中国系法人が運営する民泊施設が全体の4割を超えることが確認されている。中には安全管理が不十分な施設や、違法な転貸行為を行うケースも報告されている。さらに、再生可能エネルギー事業(太陽光・風力発電)を名目に、中国系企業が山林や沿岸部を買収する動きもある。
太陽光パネル事業の裏では、環境破壊や地域トラブルだけでなく、地形情報の収集・軍事転用の懸念まで指摘されている。
シンガポールでは外国人が住宅を購入する場合、不動産価格の60%の税金を課している。オーストラリアでは、居住者以外の外国人による中古物件購入を原則禁止。これに比べ、日本はWTO協定に基づく「内国民待遇」を理由に、外国資本に対する実質的な規制がほとんどない。
結果として、日本だけが「国土を自由に買える開かれた市場」と化しており、それが中国資本にとって最も“おいしい標的”になっているのだ。
外国人の不動産取得を一律に拒むことは、国際貿易の原則から難しい。しかし、安全保障上の重要地域、国土インフラ、水資源地帯などに限定した規制強化は急務である。
こうした仕組みを通じて、「自由経済」と「国家主権」のバランス を取る必要がある。
地価上昇や観光収入の裏で、日本の国土が他国の思惑に利用されていないか。それを見抜く目が、いま日本人に求められている。土地は一度手放せば、取り戻すことが難しい。経済の名を借りた買収が、将来的に日本の安全と文化を脅かす武器になる可能性もある。
「小さな土地の取引」が、「大きな主権の喪失」につながる――。その現実を直視しなければならない。