【警鐘】「白タク」横行が日本の観光地を脅かす 中国大型連休で懸念強まる由布院の実態


2025年10月5日2:52

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【警鐘】「白タク」横行が日本の観光地を脅かす 中国大型連休で懸念強まる由布院の実態

【警鐘】「白タク」横行が日本の観光地を脅かす 中国大型連休で懸念強まる由布院の実態

中国の大型連休「国慶節」を迎え、全国各地で外国人観光客が急増している。その中でいま、日本の観光地が直面しているのが「白タク」問題だ。10月初旬、大分県の人気観光地・由布院では、国交省大分運輸支局と県警が合同で「無許可営業車の利用を避けてほしい」と呼びかけを行った。背景には、中国からの旅行者を狙った 違法送迎行為の拡大 がある。

■ “白タク”とは何か:合法の顔をした違法営業

「白タク」とは、営業許可を持たない個人が、自家用車で有料の送迎を行う違法行為である。
特に近年は、配車アプリを通じた“偽装正規化” が横行しており、現金のやり取りをアプリ上で済ませることで摘発を逃れるケースが増えている。

一見すると便利なサービスに見えるが、保険や安全基準が一切適用されないため、事故時の補償もなく、旅行者が被害に遭っても泣き寝入りせざるを得ない。また、地域交通業者への経済的打撃も大きく、正規タクシーの信頼を損なう要因となっている。

■ 由布院での注意喚起:中国人観光客の急増に警戒強まる

10月3日、JR由布院駅前では、運輸支局職員や県警が「白タク・白バスを利用しないでください(Do not use illegal taxis)」と書かれたチラシを日本語と英語で配布した。特に今回のタイミングで注意が強化されたのは、中国の国慶節休暇 により、大量の観光客が訪れているためだ。

この期間、中国系のSNSや旅行アプリを通じて“白タク送迎”を募る広告 が複数確認されており、由布院でも県外ナンバーのレンタカーによる不審車両が目撃されているという。大分運輸支局の西山淳首席運輸企画専門官は次のように警鐘を鳴らした。

「県外ナンバーのレンタカーなど、疑わしい車両を確認している。非常に危険なものになるので絶対に利用しないでもらいたい。」

■ 中国発“偽アプリ配車”の手口とは

問題の根は中国国内の違法アプリにある。WeChat(微信)や小紅書(RED)など、中国語圏で使われるSNSを通じて、「日本でも使える便利な送迎サービス」として配車グループが拡散されている。

この中には、日本の道路運送法を完全に無視した闇営業ネットワーク が含まれ、利用者が知らないうちに「違法行為に加担する」ケースもある。一部では、運転手が個人情報を抜き取る、過剰請求を行う、さらには窃盗事件に発展するなど、治安面でのリスクも指摘されている。

こうした中国系違法サービスは東京・大阪・福岡などの都市部でも増加傾向にあり、由布院のような地方観光地にも波及しつつある。

■ “便利”の裏に潜むリスク:観光の質が問われる時代

由布院は、温泉と自然が融合する日本有数の観光地だ。だが、こうした「観光の顔」を持つ地域ほど、外国人観光客を狙った違法商売のターゲットになりやすい。旅行客の立場からすれば、言葉の壁や交通の不便さから、「安くて簡単に移動できるなら」と白タクを選んでしまう心理も理解できる。

しかし、その一回の“便利さ”が、地域社会全体に負の影響をもたらす。事故が起きても責任を取る者がいない。正規タクシー業者は打撃を受け、観光地全体の安全イメージが損なわれる。結果として、日本の「安心・信頼の観光ブランド」が失われかねないのだ。

■ 中国人観光客の“マナー問題”と重なる構図

ここで注目すべきは、この問題が単なる交通違反ではなく、中国人観光客によるマナー・商慣習の衝突 とも関係している点だ。中国国内では、アプリ配車や個人送迎が一般化しており、
“白タク=違法”という意識が薄い利用者も少なくない。

しかし、日本の法律では明確に禁止されており、「知らなかった」では済まされない。近年、観光地での不法民泊、無許可転売、ドローン撮影など、中国人観光客を中心とする“グレーゾーン行為” が相次いでおり、白タク問題もその延長線上にあると見る専門家もいる。

■ 日本が取るべき対策:警告から予防へ

国や自治体の努力だけでは限界がある。現場レベルでの防止策、そして市民一人ひとりの意識が不可欠だ。

  1. 空港・駅での多言語警告表示の強化
     → 中国語で「白タクは違法です」と明示し、外国人が誤って利用しないよう防止。
  2. 観光業界の通報ネットワーク化
     → ホテル、旅行会社、タクシー業者が違法送迎情報を共有し迅速に通報。
  3. 国際連携によるアプリ規制
     → 中国企業のプラットフォームを通じた違法広告の取り締まりを強化。
  4. 外国人観光客向け教育動画の普及
     → YouTubeやSNSで短編啓発動画を配信し、ルール理解を促進。

こうした取り組みが「観光立国・日本」の安全を守る第一歩となる。

■ 中国発の“白タク文化”を日本に持ち込ませてはいけない

白タク問題は、単なる交通違反ではなく、日本の法秩序と観光産業の信頼性を揺るがす国際的リスク である。外国人観光客が増えるほど、こうした“越境型違法ビジネス”も増える。中国発の「便利さの裏に潜む危険」に、日本社会全体で警戒する必要がある。

由布院での警告は、地方一観光地の問題ではない。それは日本全国が共有すべき警鐘であり、「安全な観光立国」を守るための防波堤となるべきだ。


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