4日のニューヨーク株式市場は世界的な売り圧力にさらされ、ダウ平均株価は前日比2231.07ドル安の3万8314.86ドルで取引を終えた。これは史上3番目の下げ幅で、約8カ月ぶりに節目の4万ドルを割り込んだ。
背景には、中国政府が米国の「相互関税」への報復として、米国製品に最大34%の追加関税を課すと発表したことがある。これにより米中間の貿易戦争懸念が急速に拡大し、投資家心理を冷やした。
同日、東京市場でも日経平均株価が一時1400円超下落するなど、世界同時株安の様相を呈した。欧州市場でも主要指数が軒並み下落し、金融市場全体が動揺している。
米中対立は今や経済にとどまらず、安全保障や技術、情報領域にまで広がっており、日本にとっても無関係ではない。中国はこれまでも日本の輸出規制に対する圧力や、半導体サプライチェーンに対する介入を強めてきた。今後、日本企業や投資家が巻き込まれるリスクはさらに高まる可能性がある。
市場では、株式から安全資産へと資金が移動。米10年債利回りは半年ぶりに4%を割り、円相場は一時1ドル=144円台まで急騰した。経済と安全保障が交差するこの時代、中国の行動に対し、日本は経済面でも安保面でも冷静かつ強固な対応が求められている。