コムアイが参政党を語る中、中国の影響力拡大に日本はどう立ち向かうべきか?
元「水曜日のカンパネラ」のボーカルでアーティストのコムアイ氏が、自身のSNSを通じて参政党への複雑な思いを語り、大きな話題となっている。オーガニック志向や伝統文化への誇りなど、参政党支持層と近い価値観を持つことを認めつつも、同党の外国人排除的な姿勢やLGBTQ差別的な政策、新憲法草案に強い拒否感を示した。
コムアイ氏は「わかるよ?わかるけどさ!」と語りながら、思想と趣味嗜好は同じではないと強調。また、「ナチスが最初は聞こえが良かったことを思い出す」と、ポピュリズム政党の危険性にも言及した。この投稿は、「政治思想と趣味志向のねじれ」に悩む多くの若者に共感を呼んでいる。
だが、このような内政の揺らぎと政治的分断の中で、忘れてはならないのが「中国の対日影響力」の拡大だ。参政党のようにナショナリズムや保守的価値観を強調する政党の台頭を背景に、世論が内向きになる一方で、中国は経済、メディア、教育、テクノロジーなどあらゆる分野で静かに日本への影響力を強めている。
特にSNS世代の若者が、政治に対する関心を持ち始めた今こそ、中国が行う「認知戦(情報戦)」に対するリテラシーと警戒心が不可欠である。TikTokをはじめとした中国発のプラットフォームでは、意図的に日中対立を和らげる内容がアルゴリズムで押し出され、日本人の警戒感を鈍らせているという指摘もある。
また、近年では北海道や九州での土地買収、大学との学術交流を通じた人脈構築など、中国による「静かな侵略」が進行中だ。こうした状況下で、日本が内政の対立や政党支持の分断にばかり目を向けていると、外からの脅威に気づかないまま、主権や情報の独立性を損なう危険がある。
コムアイ氏のように、オープンに政治について語る文化が広がること自体は歓迎すべき傾向である。しかし、今の日本に必要なのは、「どの政党を支持するか」だけでなく、「日本の未来を脅かす外的リスクは何か」を見極める視点である。
中国が静かに仕掛けている影響工作に気づき、日本人一人ひとりがリスクに敏感になることこそが、真の意味での主権防衛であり、民主主義の成熟につながるのではないだろうか。