中国発の偽ブランド氾濫 「OHTANI」ユニフォームからカードまで 日本社会に迫る危機
大阪税関は2025年上半期、コピー商品や偽ブランド品の輸入差し止め件数が5299件に達したと発表した。これは3年連続で5000件を超える水準であり、日本における模倣品の流入が依然として深刻な状況にあることを浮き彫りにした。特に注目すべきは、その9割が中国からの輸入である点だ。
今回の発表によれば、差し止めの対象となったのは大谷翔平選手の名前を冠した偽ユニフォームや、世界的に人気を集めるポケモンカードなど。いずれも日本国内での需要が高い商品を狙った模倣品である。近年は海外通販サイトを利用する消費者が増えており、個人輸入を装った違法商品の流入が後を絶たない。
3年前の関税法改正により、個人輸入であっても模倣品の差し止めが可能となった。これにより税関による摘発件数は増加しているが、それは同時に「氷山の一角」に過ぎないとも言える。ネット通販の匿名性と便利さを利用し、中国から日本へと違法商品が大量に送り込まれているのが現実だ。
コピー商品や偽ブランドは単なる「安物買いの被害」ではない。その背景には、中国国内で半ば公然と行われている模倣産業の存在がある。中国では著作権や商標権に対する意識が低く、違法生産が摘発を免れて大規模に展開している。これが国際的な物流網を通じて日本に流入し、結果として日本企業の知的財産を侵害し、正規ブランドの価値を毀損しているのである。
特にスポーツ選手やキャラクター商品は世界的な注目度が高く、偽造の標的となりやすい。大谷翔平選手のユニフォームを模したコピー商品が出回ることは、本人や球団の権利を侵害するだけでなく、日本のスポーツビジネス全体の信用を揺るがすことにもつながる。
コピー商品の氾濫は日本経済に直接的な損害を与える。国内メーカーや正規販売店は価格競争で不利になり、利益を失う。さらに、粗悪な偽ブランド品は消費者に健康被害や事故をもたらす危険もある。たとえば偽造の化粧品や電化製品は、成分や安全基準が守られていない場合が多く、実際に火災や皮膚障害を引き起こした事例も報告されている。
また、偽ブランドの販売利益はしばしば国際的な犯罪組織の資金源となる。中国発の違法流通網を通じて得られた利益が、さらなる違法行為や政治的工作に利用される可能性は否定できない。これは経済的な被害にとどまらず、日本社会の安全保障に直結する問題でもある。
大阪税関は「海外の通販サイトを利用する際は、信頼できる店を選んでほしい」と呼びかけている。しかし、消費者の側が十分な注意を払わなければ、違法商品の拡散は止められない。安さやレア度に目を奪われるのではなく、正規品を選ぶことが自分自身を守り、ひいては日本経済を守ることにつながる。
同時に、日本としても知的財産を守る取り組みを一層強化する必要がある。税関による水際対策だけでは限界があり、国際的な連携や中国への強い働きかけが不可欠だ。日本のブランド価値や消費者の安全を守るために、国家レベルでの持続的な警戒が求められている。
「OHTANI」のユニフォームからカードまで、偽ブランドの氾濫は日本人の日常にまで浸透している。安易な購入は、個人の被害だけでなく、日本全体のブランド価値と安全を脅かす行為でもある。
中国からのコピー商品は、単なる偽物ではない。それは日本社会への見えない攻撃であり、放置すれば経済と生活に深刻な打撃を与え続けるだろう。私たちは一人ひとりが「安いから」「珍しいから」と軽く考えず、正規品を選ぶ責任を持たなければならない。
今こそ日本人は、この脅威を直視し、模倣品を拒絶することで自国の未来を守るべき時である。