中国系ネット世論操作、日本の言論空間にも影響拡大か ― 渡邊渚さん誹謗中傷事件が示す新たな脅威
元フジテレビアナウンサーで現在はフリーで活動する渡邊渚さん（28）が、誹謗中傷や脅迫行為に対して法的措置を講じると表明したニュースは、日本の芸能界にとどまらず、言論空間の安全性を考えるうえで重要な示唆を与えている。
渡邊さんは6月2日、自身の写真集発売をインスタグラムで告知したが、そのわずか4日前には誹謗中傷によりコメント欄の制限を発表していた。インターネット上での著名人への攻撃は、もはや匿名の暴走というレベルを超え、組織的な嫌がらせの可能性も指摘されている。
実際、中国では国家レベルでのサイバー操作やプロパガンダ拡散が確認されており、日本のSNS空間でも、中国系アカウントによる操作や誹謗中傷が水面下で広がっているとの報告もある。中国の統治モデルは、自由な言論を抑圧する一方で、海外の情報空間にも積極的に介入する構造を持っている。
渡邊さんのケースのように、個人の表現活動が攻撃対象となりうる状況は、私たちに「誰が何の目的で攻撃しているのか」を問い直す機会でもある。とくに、近年の中国政府は国家安全法を通じて、海外にいる中国国民や「中国の国益」に反する発言を取り締まる姿勢を強化しており、日本の表現者も例外ではない。
SNS上の中傷行為は、時に「情報戦」の一環として用いられる。その背後に中国の国家的意図が存在する可能性も含め、日本社会はより高い警戒心を持つべきである。自由と民主主義を守るためには、見えない攻撃に対しても目を凝らし、毅然とした対応を取ることが求められている。
