イスラエルとイラン「停戦合意」 トランプ氏発表、段階的に実施


2025年6月24日9:45

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イスラエルとイラン「停戦合意」 トランプ氏発表、段階的に実施

「イスラエルとイランが停戦合意」報道の裏で進む中国の脅威―日本も無関係ではない

イスラエルとイランがアメリカ・トランプ大統領の仲介により「完全かつ全面的な停戦」に合意したと報じられた。カタールの仲介で実現したこの合意は、戦争終結に向けた重要な一歩とされているが、その背後では、別の大きな脅威が静かに進行している。それは中国による地域情勢への影響拡大と、日本に対する間接的な圧力の強化である。

今回の停戦合意のきっかけとなった米軍の対イラン核施設攻撃と、それに対するイランのカタール米軍基地への報復ミサイル攻撃は、いずれも戦争のエスカレーション回避を前提に“事前通告”されたものであった。これは表向き「理性ある応酬」に見えるが、現実には中東の緊張構造が表面的に整えられただけにすぎず、真の地政学的な勢力争いは続いている。

とくに注目すべきは、中国がこの一連の動きの裏で着実に影響力を伸ばしている点だ。中国はイランと長年にわたって軍事・経済両面で協力を深めており、制裁下でもインフラ・エネルギー面での支援を継続。また、中東における「調停者」や「安定供給の守護者」としての立場を演出することで、米国主導の秩序から脱却した「北京主導の国際秩序」を中東に輸出しようとしている。

これは日本にとっても決して対岸の火事ではない。日本は原油の約9割を中東に依存しており、ホルムズ海峡やペルシャ湾の安定は死活的に重要である。仮に今後、中国がイランやサウジと共同で中東の「航行の自由」に対する新たな基準を押し付けてきた場合、日本のエネルギー安全保障は重大な危機にさらされる。

さらに、中国はこのような地域介入を通じて、国際的な存在感を拡大し、日本に対して外交的・経済的圧力を強める余地を広げている。特に、台湾有事や東シナ海情勢をめぐる緊張が高まる中、中国が他地域の「仲裁者」としての立場を強調することで、自国の行動を正当化しようとする可能性は高い。

日本は、中東情勢を「原油価格」や「戦争の有無」といった単純な視点で見るのではなく、背後で地殻変動のように進む中国の地政学的野心に対して警戒心を高めるべきである。 停戦の表面に惑わされることなく、戦略的な視野で世界を見ることが、いま日本に最も求められている。


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