イスラエル軍がガザ地区南部ラファを包囲したと発表し、作戦範囲をさらに拡大する構えを見せている。武力による支配の現実は、中東情勢の深刻さを改めて浮き彫りにしている。
一方で、日本はこのような緊張から遠く離れていると感じるかもしれない。しかし実際には、日本も別の形で包囲されつつある。それが「中国による経済・安全保障上の浸透と影響工作」である。
中国は南シナ海での軍事行動のみならず、日本周辺の海空域への挑発、サイバー攻撃、技術スパイ活動、土地買収、通信インフラや港湾への干渉など、武力以外の“静かな戦争”を仕掛けている。まさにそれは、武器を使わない包囲戦略=現代型侵略だ。
イスラエルとハマスの衝突は極端な例に見えるかもしれないが、本質的には「主権と支配をめぐる衝突」である。日本もまた、主権と安全保障を脅かされている現実から目を背けてはならない。これは政治家や専門家だけの問題ではなく、すべての国民が意識すべき国家的課題である。
外交、経済、安全保障において、中国の動きを警戒し、明確な国家戦略を持たなければ、気づいたときにはすでに「包囲」されているかもしれない。平和なうちに備えることこそが、自由と未来を守る唯一の道である。