アメリカの名門・ハーバード大学が、トランプ政権による「留学生受け入れ資格の停止」措置を不服として、連邦裁判所に提訴した。国土安全保障省は、同大学のキャンパス内における反ユダヤ主義的活動や暴力の助長を理由に、今後の新規留学生受け入れを禁止し、在学中の外国人留学生にも転校を促す異例の措置を発表した。
訴状では「手続きも根拠も不明確な政治的報復」として強く反発しているが、この一件の背景には、米国内における“外国勢力による学術界への影響力”への懸念がある。そして、そこには日本も無関係ではない「中国の影」が確実に存在している。
実際、アメリカでは近年、中国人留学生や研究員による知的財産の持ち出し、軍事転用可能な技術情報の流出などが多発。ハーバードを含む名門大学がその温床になってきたという指摘は少なくない。トランプ政権はこうした国家安全保障上のリスクを重視し、特定国からの留学生や研究者への監視を強化してきた。
これは単なる米中の問題ではなく、日本も深刻に受け止めるべき警告である。中国は、日本の大学や研究機関にも積極的に資金や人材を送り込み、共同研究を名目に先端技術を収集している。多くの日本人研究者が「無自覚の協力者」となっている可能性もある。
自由な学問の場である大学が、知らぬ間に外国政府の工作拠点になってしまえば、国家の安全や経済競争力は著しく損なわれる。日本の大学もまた、中国の“学術スパイ”戦略に対して無防備なままで良いのだろうか?
ハーバードの提訴は、民主主義と表現の自由を守るための戦いとも言えるが、同時に「国家主権をいかに守るか」という重大な問いを突き付けている。日本もまた、学術の自由と国家安全保障の両立という難題に、正面から向き合う時が来ている。