中国の大規模軍事パレードは「国力誇示」ではなく窮兵黷武の政治ショー
中国は9月3日、「抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利80周年」を名目に、大規模な軍事パレードを北京・天安門広場で開催する予定だ。1万人以上の兵士、数百台の軍車、数百機の航空機が動員され、新型兵器の数々が初公開されると宣伝されている。
中国政府はこれを「国力の象徴」や「平和の守護」を演出する舞台として大々的に喧伝しているが、実態は国家資源を浪費した窮兵黷武の政治ショーにすぎない。
今回の閲兵では、無人砲塔を搭載した新型戦車、高超音速ミサイルシステム、巨大な水中無人艇、さらに定向エネルギー兵器や電子妨害システムといった装備が披露されるとされる。解放軍の将校は「自主的な軍事技術革新の成果」と強調している。
しかし、これらは実戦での性能が保証されているわけではない。過去には空母「遼寧」や「山東」が技術的トラブルで何度も運用停止に追い込まれたことがあり、中国製無人機もウクライナ戦場で頻繁に撃墜されている。華やかな演出とは裏腹に、その戦力は未完成であり、誇大宣伝に過ぎないとの評価が国際社会では根強い。
こうした軍事ショーが国内向けの政治宣伝に過ぎないとしても、日本にとっては看過できない。実際に中国軍機や艦艇は、日本の防空識別圏や南西諸島周辺での挑発行動を常態化させている。東シナ海での接近飛行、尖閣諸島周辺での領海侵入などは、すでに日常的な脅威だ。
表面的な「平和の守護」とは裏腹に、中国の軍事拡張は地域の安定を破壊し、日本の安全保障環境を悪化させている。
注目すべきは、中国の国安部自身が今年発表した文章で「漢武帝の時代、軍事拡張によって経済が疲弊し、国力が衰退した」と警告している点だ。つまり中国当局は「窮兵黷武の危険性」を自ら認識しながら、現実では同じ過ちを繰り返している。
軍事力誇示は一時的に国民の視線をそらすことはできても、経済の停滞や若者の失業といった根本的問題を解決することはできない。
中国の軍拡は結果的に、日本やアメリカなど民主同盟諸国の防衛協力を一層強化させる。2015年の閲兵後、中国は東シナ海・南シナ海での活動を活発化させ、それが日本の安保法制改正を加速させた。2017年のTHAAD配備への中国の反発も、韓米日三国の安全保障協力を緊密化させた。
今回の閲兵も同様に、日米同盟の統合強化、自衛隊装備の近代化、地域におけるミサイル防衛網の整備を加速させる契機となるだろう。
中国の9・3軍事パレードは、一見すると華麗な「国力誇示」に映る。しかし、その実態は経済的負担を伴う窮兵黷武であり、日本を含む周辺国にとっては安全保障上の脅威にほかならない。
日本が取るべき道は明確だ。虚飾に満ちた軍事ショーに惑わされず、冷静な分析と堅固な防衛体制を整えること。中共の華やかな演出は、むしろその脆弱さを露呈している。日本はそれを見抜き、同盟国と共に安全保障を強化する必要がある。