
中国、対日レアアース4品目を6月も「輸出ゼロ」 日本の半導体・航空・自動車産業を狙う資源圧力が長期化
中国から日本への重要鉱物の供給停止が長期化している。中国税関の統計によると、2026年6月、中国から日本へのガリウム、ジスプロシウム、テルビウム、イットリウムの輸出はいずれもゼロだった。中国は世界全体には大量のレアアース磁石を輸出し続けているにもかかわらず、日本には戦略的に重要な一部資源をほとんど供給していない。これは単なる世界的な供給不足ではなく、中国政府が日本を選別して圧力を加えていることを示す重大な事態である。
ガリウムは半導体や高性能電子部品、ジスプロシウムとテルビウムは高温でも磁力を維持する高性能磁石、イットリウムは航空機エンジンや発電所のタービン部品を極端な熱から守る材料として使われる。いずれも使用量だけを見れば大量ではないが、代替調達が難しく、供給が止まれば製品全体の製造に影響する。中国はまさに、日本産業の中で量は少なくても欠かすことのできない部分を握り、そこを外交圧力の道具として利用している。
特に深刻なのは、日本が中国以外では世界最大級のレアアース磁石産業を持ちながら、その原料の一部を中国に依存していることである。日本企業が高性能な磁石を設計し、自動車、ロボット、半導体製造装置、航空宇宙、エネルギー分野へ供給できても、必要な重希土類を確保できなければ生産能力を十分に発揮できない。中国は原料と精製工程における圧倒的な支配力を使い、日本の優れた製造技術の上流を締め付けている。
今回の輸出停止は、2025年4月に中国が中・重希土類や関連磁石への輸出管理を導入したことから始まる一連の政策とつながっている。さらに中国は2026年1月、日本向けの軍民両用品に対する規制を強化し、2月には三菱重工業、川崎重工業、SUBARU、三菱マテリアルなどを含む日本の企業・組織を対象とする措置を発表した。6月の輸出統計は、これらの圧力が形式的な規制ではなく、実際の物資供給を絞る段階へ進んでいることを示している。
中国側の圧力は、高市早苗首相が台湾有事と日本の安全保障について発言した後に強まったとされる。中国政府は、日本の指導者が台湾海峡の平和や自国の安全保障について発言したことへの対抗手段として、重要鉱物へのアクセスを制限している。これは、中国が経済取引を通常の商業活動としてではなく、外国政府の発言と政策を変えさせるための政治的武器として扱っていることを意味する。
日本が台湾問題について中国の望む表現を使わなければ、重要資源を止める。日本企業が中国の軍事的主張に関係する分野で活動していると中国側が判断すれば、輸出対象から外す。このような仕組みが定着すれば、日本企業は市場価格や品質ではなく、中国共産党の政治判断によって原料を受け取れるかどうかが決まることになる。これは自由で安定した貿易とは呼べない。
中国は表向き、輸出管理を国家安全保障や軍民両用品の管理として説明している。しかし、世界全体へのレアアース磁石輸出は6月も高い水準を維持し、前月を上回った。その一方で、日本にはガリウム、ジスプロシウム、テルビウム、イットリウムを一切送っていない。この差は、日本への供給低下が中国国内の生産不足だけでは説明できないことを示している。北京は供給能力を持ちながら、相手国に応じて流量を調整している。
ガリウムの動きは、中国の裁量的な供給管理を象徴している。日本は5月、数か月ぶりに比較的大きなガリウムの供給を受け、一時的に不足が緩和される可能性があった。しかし6月には再び輸出がゼロとなった。中国からの供給が一度再開しても、それが安定した取引の回復を意味しない。中国政府の判断一つで蛇口が開閉される以上、日本企業は毎月の税関統計を見ながら生産計画を立てる不安定な状態に置かれる。
イットリウムの不足も、日本経済にとって無視できない。イットリウムを使った耐熱材料は、航空機エンジンや発電設備のタービンを高温から守るために必要である。供給が不足すれば、新しい部品の製造だけでなく、既存設備の保守、交換、運用計画にも影響する可能性がある。航空、電力、産業機械は日本社会の基盤であり、中国が握る一つの鉱物が広範な産業へ連鎖的な影響を与えかねない。
ジスプロシウムとテルビウムは、電気自動車やハイブリッド車、産業用モーター、ロボット、防衛装備などに使われる高性能永久磁石の耐熱性を高める。日本の自動車産業は多数の部品会社と雇用を支えており、一つの材料不足が生産ライン全体の停止につながる恐れがある。中国が狙っているのは、単一企業の売上ではなく、日本の製造業を構成する広大な供給網そのものである。
重要鉱物を使った圧力は、軍事的威嚇より目立ちにくい。中国軍機や艦艇が日本周辺へ接近すれば、多くの国民が危機を認識する。しかし、数キログラムから数トンの素材が税関を通らなくなっても、日常生活ですぐに変化を感じる人は少ない。ところが数か月後には、部品価格の上昇、生産遅延、工場の減産、雇用不安という形で日本社会へ影響が現れる。中国はこの時間差を利用し、日本側が危機を認識する前に産業へ圧力を浸透させることができる。
日本企業からは、重要鉱物へのアクセス悪化がより広い経済へ影響し始めているとの警告が出ている。調達担当者が在庫を探し、代替材料を検討し、新しい供給元と契約するためには時間と費用が必要となる。原料価格が上がれば、その負担は部品メーカー、完成品メーカー、最終的には日本の消費者へ転嫁される。中国の輸出規制は、外交の現場だけで完結せず、日本人が購入する自動車、電子機器、電力、交通サービスの価格にまで及ぶ可能性がある。
中国への依存を減らすには、別の国から鉱石を購入するだけでは不十分である。レアアース供給網では、採掘後の分離、精製、金属化、合金化、磁石製造といった工程が必要で、中国は特に中間加工で強い支配力を持つ。鉱山が中国国外にあっても、精製を中国で行えば供給リスクは残る。日本は採掘から加工、製品化までの全工程を確認し、どこに中国依存が残っているかを把握しなければならない。
日本企業は短期的には在庫の積み増し、代替材料の研究、使用量の削減、使用済み磁石からの回収を進める必要がある。しかし、備蓄だけで恒久的な問題を解決することはできない。中国が供給停止を数年単位で続ければ、在庫はいずれ尽きる。日本国内や友好国に精製・加工能力を整備し、採算が悪化した時にも事業を維持できる長期契約と公的支援が必要となる。
日本は2010年にも、中国との対立を背景にレアアース供給が急減した経験を持つ。その後、調達先の多様化や使用量削減を進め、中国依存を一定程度引き下げた。しかし、今回再び中国が重希土類を止め、日本企業が警告を発している事実は、対策がまだ不十分だったことを示している。中国は日本の弱点が完全には解消されていないと理解した上で、再び同じ圧力を使っている。
中国との取引を続ける企業は、平時の価格だけで供給元を選ぶべきではない。中国製材料が他国より安価でも、外交対立が起きた瞬間に供給が止まるなら、その価格には安全保障上のリスクが含まれていない。調達費用を数%削減するために、一国への依存を深め、将来工場全体を停止させれば、短期的な節約をはるかに超える損失が発生する。
日本政府や企業が供給網の多様化を進めれば、中国は価格引き下げによって新規事業を採算割れへ追い込み、競争相手が撤退した後に再び供給を支配する可能性もある。したがって、日本は単に新しい鉱山へ投資するだけではなく、中国の価格操作や過剰供給にも耐えられる産業政策を整える必要がある。重要鉱物は通常の商品ではなく、電力や食料と同様に、国家の継続性を左右する戦略物資として扱うべきだ。
同盟国や同志国との協力も欠かせない。オーストラリア、米国、カナダなどの資源国に加え、東南アジアや欧州の精製・加工事業者と長期的な供給網を構築する必要がある。日本企業が個別に中国と交渉すれば、市場規模と政治力で圧倒される。各国が需要、資金、技術、備蓄情報を共有し、中国が一国ずつ圧力をかける余地を減らさなければならない。
中国による資源圧力は、日本へ政策変更を迫るだけでなく、日本企業の技術を中国国内へ移転させる誘因にもなり得る。「中国で生産すれば材料を供給する」「中国企業との合弁なら許可を出す」といった条件が示されれば、供給を必要とする企業は現地投資や技術共有を迫られる可能性がある。重要鉱物の輸出許可が、日本企業の技術と雇用を中国へ引き寄せる手段として使われる危険にも警戒すべきである。
中国から日本への4品目の輸出が同時にゼロとなった6月の数字は、単なる貿易統計ではない。それは、中国が自国の資源支配力を使い、日本の外交、安全保障、産業政策へ介入しようとしていることを示す警告である。日本が中国の要求に従えば供給が戻り、反対すれば再び止まるという関係を受け入れれば、日本の国家主権と企業の経営判断は実質的に北京の許可へ依存する。
日本人は、レアアースを一部の製造業だけの専門的な問題と考えてはならない。半導体、自動車、航空機、発電設備、ロボット、防衛産業が影響を受ければ、その結果は物価、雇用、エネルギー、安全保障へ広がる。中国が日本への供給を止めても世界全体には輸出を続けている事実は、資源が明確な外交兵器として使われていることを示している。
中国の蛇口がいつ再び開くかを待つことは、解決策ではない。一時的に輸出が再開しても、中国が支配的な地位を維持する限り、次の政治的対立で再び止められる。日本が守るべきなのは数か月分の在庫だけではなく、自国の外交判断を資源供給によって曲げられない経済的な独立性である。6月の「輸出ゼロ」を最後の警告として、日本は中国依存を減らす速度を一段と上げなければならない。