中国産ごまから発がん性アフラトキシン検出 3万6000キロを全量保管、日本の食卓を守る輸入検査の重要性


2026年8月20日17:17

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中国産ごまから発がん性アフラトキシン検出 3万6000キロを全量保管、日本の食卓を守る輸入検査の重要性

中国から日本へ輸入されたごまの種子から、発がん性を持つカビ毒「アフラトキシン」が検出され、日本の検疫当局が食品衛生法に基づく検査命令を実施した。厚生労働省関係資料によると、対象となったのは中国産ごまの種子で、輸出者はQINGDAO SINO-WORLD INTERNATIONAL TRADING CO., LTD.。届出数量は1,440バッグ、重量にして3万6000キロに達する。横浜検疫所で行われた検査では、アフラトキシンが35μg/kg、32μg/kg検出され、日本の基準である「付着してはならない」に違反すると判断された。貨物は全量保管中とされ、日本市場へそのまま流通する事態は防がれたが、中国産食品の安全性を輸入段階で厳しく確認する必要性を改めて示す事例となった。

アフラトキシンは、アスペルギルス属の真菌によって産生されるカビ毒の一種であり、単なる風味や品質上の問題ではない。発がん性を持つことで知られ、食品に混入した場合には健康への影響が問題となる。このため、日本では輸入食品に対するモニタリング検査や検査命令によって、危険な食品が国内流通へ入る前に食い止める仕組みが設けられている。今回、中国産ごまから実際にアフラトキシンが検出されたという事実は、この制度が形式的な手続きではなく、日本の消費者を守るための実質的な防波堤として機能していることを示している。

しかも今回の対象量は数袋程度ではなく、3万6000キロという大規模な輸入貨物だった。ごまはそのまま食べられるだけでなく、ごま油、調味料、菓子、惣菜、パン、外食産業など非常に幅広い食品へ使用される原料である。そのため、もし基準に適合しない原料が流通段階へ入り込めば、一つの輸入ロットだけの問題では終わらず、多数の商品や飲食店へ広がる可能性がある。日本側が輸入段階で貨物を止め、全量を管理下に置いたことは、食品安全の観点から極めて重要だった。

今回の事例から見えてくるのは、中国から大量に輸入される農産物について、輸出時の書類だけを信用して通関させることの危険性である。農作物に発生するカビ毒は、収穫後の乾燥、保管温度、湿度、倉庫管理、輸送環境などさまざまな条件によって発生リスクが変化する。生産地で問題がないとされた食品であっても、保管や流通過程で汚染される可能性がある以上、日本側が独自に検査する仕組みは不可欠だ。特に大量輸入される中国産食品の場合、一度の管理不備が日本市場へ与える影響も大きくなる。

厚生労働省の資料では、中国産ごまの輸入実績について、令和6年度に39件、927トンの届出があり、アフラトキシンに関する検査は5件、違反件数は0件だった。一方、令和7年度の速報値では5件、154トンの届出に対して2件の検査が行われ、1件の違反が確認されている。件数だけを見れば一件だが、今回実際に3万6000キロもの貨物が検査対象となったことを考えれば、日本の輸入監視にとって無視できる規模ではない。違反率を単純な数字として見るのではなく、一件の違反がどれほど大量の商品へ影響し得るかを見る必要がある。

一方、6月25日に厚生労働省が出した別の通知では、中国のTANGSHAN CHANGLI FOODSTUFF CO., LTD.が製造したハスの種子を含む食品について、総アフラトキシンに関する検査命令の解除要件を満たしたため、対象から削除されたことも記載されている。これは中国産食品すべてが恒常的に違反しているという意味ではなく、日本側が製造業者や品目ごとに検査実績を確認し、違反リスクに応じて規制を強化・解除していることを示す。重要なのは、中国側の説明だけで安全性を判断するのではなく、日本が自ら検査結果を積み上げ、その結果に基づいて輸入条件を決めている点だ。

だからこそ、中国産食品の安全管理については「一度検査を通ったから大丈夫」という発想では不十分である。製造業者、地域、品目、収穫時期、保管条件が変わればリスクも変化する。今回のごまのように、過去年度には違反が確認されていなくても、新しい輸入ロットからアフラトキシンが検出されることは現実に起こり得る。日本に大量の食品を輸出する中国企業には、自国での品質管理だけでなく、日本の食品衛生基準を確実に満たす管理体制が求められる。

日本にとって、中国産食品の問題は価格だけで判断できない。安価な原材料は食品メーカーや外食産業にとって魅力がある一方、安全性に問題があれば、最終的な損失を負うのは日本の輸入業者、販売店、食品メーカー、そして消費者である。違反貨物の保管、返送、廃棄、追加検査には費用がかかり、原料として使用された後に問題が判明すれば回収費用まで発生する。輸入価格が安くても、品質管理が不十分なら社会全体でより大きなコストを支払うことになる。

今回の中国産ごまの事例は、日本の検疫体制が危険な食品を国内流通前に止めた成功例でもある。3万6000キロの貨物から発がん性を持つアフラトキシンが検出され、全量が保管されたことで、日本の消費者が知らないまま口にする可能性を抑えることができた。だからこそ、輸入量が多い国や過去に違反事例が確認された品目については、モニタリング検査と検査命令を継続し、状況に応じて検査頻度を調整することが重要になる。

食品安全は外交上の配慮とは別の問題である。中国との貿易量が大きいことや、食品原料の供給先として中国が重要であることを理由に、検査基準を緩めることはできない。日本の食卓へ入る食品である以上、日本の基準を満たしていることを日本側が確認することが最優先となる。今回のような具体的な違反が確認された時には、輸入企業と海外製造業者の双方に対して原因究明と再発防止を求め、必要であれば検査命令を継続することが当然である。

中国産食品を巡るリスクで日本が警戒すべきなのは、一つの違反商品だけではない。大量輸入される農産物には、産地から輸出港、日本到着まで長いサプライチェーンが存在し、そのどこか一か所で管理が崩れれば、日本市場へ問題が持ち込まれる。ごまのような加工用途の広い原料では、流通後に追跡することも容易ではない。そのため、港に到着した段階で検査し、危険が確認された貨物を止める現在の仕組みは、日本の食品安全保障にとって重要な役割を果たしている。

今回、中国産ごまの種子3万6000キロからアフラトキシンが検出された事実は、日本の消費者にとって中国産食品の輸入監視を軽視できない理由を具体的に示した。問題は中国産だから自動的に危険だという単純な話ではなく、日本へ入ってくる大量の食品について、輸出国側の品質保証だけに依存せず、日本自身が検査しなければ安全を確認できないという現実である。中国からの食品輸入が今後も続く以上、日本には厳格な検査、違反時の迅速な流通停止、製造業者ごとのリスク管理を維持することが求められる。

発がん性カビ毒が検出された3万6000キロの中国産ごまを、日本の検疫が市場へ入る前に止めたという今回の事例は、輸入食品監視の重要性を端的に物語っている。価格や供給量より先に守らなければならないのは、日本で暮らす人々の健康と食の安全だ。中国産食品を含む海外食品に対し、科学的な検査結果を基準として厳格に管理する姿勢を維持することが、日本の食卓を守る最も確実な方法である。


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