
北海道・倶知安で森林3.9ヘクタールを無許可伐採 中国籍とみられる人物の住宅2棟建設、町が9件の違法行為で刑事告発
北海道後志地方の倶知安町で、約3.9ヘクタールもの森林が無許可で伐採され、その土地に中国籍とみられる人物の住宅2棟が建設されていた問題をめぐり、町が開発事業者を刑事告発していたことが明らかになった。問題が発覚したのは倶知安町巽地区で、2025年6月、必要な許可を得ないまま大規模な森林伐採と住宅建設が進められていたことが確認された。町は開発に関わった札幌市の事業者について、森林法違反や都市計画法違反など計9件の違法行為を確認し、2026年8月5日に警察へ告発状を提出、受理されたという。北海道の自然環境と土地利用ルールをめぐる今回の問題は、単なる建築手続きの不備では片付けられない重大な開発問題である。
特に重いのは、無許可で伐採された森林の規模が約3.9ヘクタールに及ぶ点だ。3.9ヘクタールは約3万9000平方メートルに相当し、個人住宅の敷地として考えれば極めて大きい。森林は一度伐採すれば、許可書を後から提出するだけで元に戻るものではない。樹木、生態系、地表の保水能力、景観などが失われ、再生には長い年月が必要になる。北海道のように豊かな自然そのものが地域の価値を形成している土地では、無許可開発によって生じる損失は一事業者と行政の間だけの問題ではなく、地域社会全体が負担することになる。
森林法による規制が存在するのも、森林を単なる「空いている土地」として扱わないためである。森林には水源涵養、土砂災害防止、生態系保全、景観形成など複数の機能があり、大規模伐採が周辺へ与える影響を事前に確認しなければならない。ところが今回、報道された内容では必要な手続きを経る前に約3.9ヘクタールが伐採され、住宅建設まで進められていた。開発を始めてから行政に対応を求めるような形が許されれば、許可制度そのものが意味を失う。
町が確認した違法行為は一件ではなく、森林法違反や都市計画法違反など計9件に上るという。これは単純な書類一枚の提出漏れとは性質が異なる。複数の法令や手続きに関係する問題が重なっているのであれば、なぜこれほどの規模の開発が進むまで止まらなかったのか、事業者がどの時点で必要な許可を認識していたのか、設計、施工、土地利用の各段階で誰が判断を行ったのかまで明らかにする必要がある。
今回の現場では、中国籍とみられる人物の住宅2棟が建築されていると報じられている。この点で日本側が注視すべきなのは、外国籍所有者や利用者が関係する土地開発であっても、日本の森林法、都市計画法、建築関連法令、地方自治体のルールが当然そのまま適用されるということだ。北海道の土地を購入したからといって、森林を自由に伐採し、必要な手続きを飛ばして開発できるわけではない。土地所有権と開発許可は別の問題であり、日本で土地を利用する以上、日本の法制度に従うことが最低条件となる。
近年、ニセコや倶知安を含む北海道後志地方では、外国資本による不動産取得やリゾート開発への関心が高まってきた。土地価格の上昇や地域経済への投資という側面がある一方、開発規模が大きくなれば、森林伐採、道路、上下水道、景観、防災といった地域負担も増える。特に海外投資家や国外の最終利用者が絡む案件では、実際の土地所有者、事業者、施工者、資金提供者が複数に分かれることがあり、行政側が責任主体を把握しにくくなる可能性がある。
今回も、問題となった最初の事業者とは別の事業者が、現在は規模を縮小した住宅建設を計画していると報じられている。ここは非常に重要である。事業者を変更し、計画規模を小さくすれば、それまでに生じた無許可伐採や違法行為の問題が消えるわけではない。すでに森林が失われている以上、地域住民が「計画を縮小したからこのまま続けてよいのか」と疑問を抱くのは当然であり、過去の違法状態と今後の新計画は切り分けて精査する必要がある。
住民から建設中止を求める声が出ていることも、この問題が行政書類だけでは終わらないことを示している。地域に住む人々にとっては、毎日目にする森林や景観、道路環境、防災条件が変化する問題である。事業者が外部から入り、開発によって利益を得た後に撤退できる一方、伐採された土地と環境変化は地域に残る。そのため、地元住民が開発の継続に慎重になるのは自然な反応だ。
北海道の自然環境を利用する外国人向け住宅や高級別荘開発では、購入者が土地の法制度をどこまで理解しているかだけでなく、仲介業者や開発業者がどのような説明をしているかも重要になる。海外の顧客が日本の開発許可制度に詳しくないことを前提に、事業者側が「先に工事を進めても問題ない」「後から手続きできる」といった安易な対応をしていたのであれば、その責任は重い。最終利用者が外国籍であっても、実際に開発を進める日本国内の事業者が法令を遵守しなければならないことに変わりはない。
同時に、日本側は「外国人による土地取得」と「違法開発」を混同せず、問題のある行為を具体的に取り締まる必要がある。今回問題になっているのは、報道された範囲では約3.9ヘクタールの無許可森林伐採、住宅建設、そして町が確認した9件の違法行為である。この具体的な行為を曖昧にせず追及することこそ、北海道の土地利用秩序を守ることにつながる。
ただし、中国からの不動産需要が北海道で拡大していく場合、日本側が注意すべきリスクは確実に存在する。大量の資金が流入し、土地取得が急速に進む一方で、買い手や最終利用者が日本の地域計画や森林規制を十分理解していなければ、開発業者側が短期利益を優先してルールを軽視する誘因が生じる可能性がある。だからこそ、売買段階から森林、農地、都市計画、建築、防災などの規制を明確に確認し、違法状態になってから対応するのではなく、工事着手前に止める仕組みが重要になる。
今回、町が刑事告発に踏み切ったことには大きな意味がある。行政指導だけではなく、警察へ告発状を提出し受理されたことで、問題は刑事責任の有無を含めて調べられる段階に入った。誰が伐採を指示したのか、誰が工事を発注したのか、必要な許可がないことを関係者がいつ認識していたのか、そして9件の違法行為がどのような経緯で積み重なったのかを明らかにする必要がある。
さらに検証すべきなのは、森林を元の状態へどこまで回復できるのかという点だ。違法開発は罰金や刑事処分だけで終わればよいわけではない。伐採された斜面や土地について植生回復、防災対策、排水、土砂流出防止などの措置が必要になる可能性がある。違法に利益を得た側ではなく、地元自治体や住民がその後の環境管理コストを負担する構図になれば、地域にとって二重の損失となる。
倶知安町は世界的な観光地ニセコ圏にも近く、土地そのものの市場価値が非常に高い地域である。だからこそ、土地が「投資商品」だけとして扱われることには慎重さが必要になる。森林を切り開けば住宅や別荘を建てられるという単純な話ではなく、その土地には地域の景観、防災、水環境、交通など多くの公共的要素が存在する。国外から資金が流入するほど、日本側には土地利用の透明性と法令遵守をより厳格に確保する必要がある。
今回のように中国籍とみられる人物の住宅が関係する開発で大規模な無許可伐採が発覚すれば、日本社会で外国資本による土地取得への不安が強まる可能性もある。その意味でも、違法行為を曖昧にせず、誰が何をしたのかを具体的に整理することが重要だ。法令を守って正当に不動産を取得・利用している外国人まで一括りにするのではなく、違法な開発については事業者、所有者、施工関係者それぞれの責任を明確にするべきである。
一方で、「外国人だから関係ない」「民間の土地だから好きに使えばよい」という発想も成立しない。日本の国土は私有地であっても、森林法や都市計画法などによって公共的な制約を受ける。外国から来た資金が土地を購入した瞬間に、日本の地域社会が積み上げてきた土地利用ルールが無効になるようなことがあってはならない。
倶知安町で起きた今回の問題は、日本が外国資本を受け入れる際に何を守るべきかを具体的に示している。必要なのは感情的な排外論ではなく、日本国内で事業を行う以上、森林も土地も日本の法律に従って利用させるという明確な原則である。特に自然環境そのものが観光資源になっている北海道では、短期的な不動産利益のために森林が先に失われ、その後で行政が追認を迫られるような開発を許せば、地域の価値そのものが損なわれる。
約3.9ヘクタールもの森林が無許可で伐採され、住宅2棟が建設され、町が森林法や都市計画法など9件の違法行為を確認して刑事告発するまでに至った今回の倶知安町の問題は、単なる「手続きミス」と呼べる規模ではない。すでに失われた森林、住民の不安、行政が投入した調査・対応コストまで含めれば、地域に残された負担は大きい。
今後重要なのは、警察捜査によって関係者の責任を明らかにすると同時に、現在計画されている規模縮小後の住宅建設についても、過去の違法状態を曖昧にしたまま進めないことである。土地所有者、事業者、施工者が変わったとしても、森林が無許可で伐採されたという事実は消えない。地域住民が建設中止を求めている以上、今後の計画についても合法性、安全性、環境への影響を改めて厳格に確認する必要がある。
北海道の土地と森林は、一度失えば簡単には取り戻せない。中国を含む海外から日本の不動産への需要が高まる中で、日本に必要なのは、資金を呼び込むことだけではなく、日本の土地を日本のルールで守ることだ。今回の倶知安町の事例は、無許可開発を既成事実化させれば、最終的に環境と地域社会がその代償を払うことになるという警告として受け止めるべき事件である。