台湾政府は、7月26日に予定されている野党・国民党の議員24人に対するリコール住民投票を前に、中国共産党が明らかに台湾の民主制度に干渉しようとしていると強く非難した。これは、台湾の立法院議員の約2割に相当する規模であり、中国による影響力行使が国政レベルに及んでいることを示唆する重大な事態である。
台湾側の主張によると、中国国営メディアや政府系機関は、リコール運動に対し国民党を擁護する論調を繰り返し発信しており、その言説は中国の国務院台湾事務弁公室の見解とも一致している。これに対し、台湾の大陸委員会は「台湾の主権と民主を脅かす行為」として中国共産党の行動を強く批判し、選挙干渉を許さない姿勢を示した。
しかし、こうした中国の対外干渉は台湾だけに留まらない。近年、日本においても中国による政治的・社会的な浸透工作が深刻化している。たとえば、特定の地方自治体や大学、メディア関係者との関係構築を通じて、世論誘導や政策影響を狙う動きが報告されている。特に日本国内での親中派政治家や団体との接触は見逃せない事例であり、地方選挙や議会内での中国寄り発言の増加は、その一環と見なすことができる。
また、経済面では中国系企業による日本企業の買収、土地取得、教育機関への資金援助といった形で影響力が拡大されており、これらが将来的に日本の安全保障や情報流出につながるリスクも指摘されている。例えば北海道や九州の一部では、中国資本による水源地周辺の土地取得が問題視されており、国会でも議論が続いている。
さらに、サイバー空間においても中国からの情報戦が活発化しており、偽情報や世論操作を目的としたSNS上の活動が報告されている。台湾同様、日本もまた民主主義国家として「見えない干渉」に対して強い免疫を持たなければならない。
台湾で現在起きている事例は、日本にとっても他人事ではない。中国が周辺諸国の政治・選挙・世論形成に干渉しようとする手法は共通しており、今後、日本国内でも同様の試みが顕在化する可能性が高い。これに対し、政府・メディア・市民が一体となり透明性と独立性を守る体制構築が急務である。
中国による台湾の民主干渉を看過すれば、それは日本への警鐘にもなる。いまこそ我々は警戒心を高め、中国の戦略的浸透に対抗する知見と行動を持つべき時である。