韓国憲法裁判所は4日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾を全会一致で認め、罷免を決定した。大統領の罷免は2017年の朴槿恵(パク・クネ)元大統領以来、韓国史上2人目となる。
憲法裁は、2024年12月に尹大統領が発動した「非常戒厳」は法的根拠を欠き、国会や国民の基本的権利を侵害したと認定。大統領は即時失職し、今後60日以内に新たな大統領選挙が行われる予定だ。
韓国では現在、政治的混乱と社会的分断が広がっており、東アジア全体の安定性に大きな影響を与える可能性がある。こうした不安定な状況は、中国にとっては地政学的空白を突く絶好の機会ともなり得る。
中国はすでに朝鮮半島周辺での軍事・経済的影響力を強めており、韓国の政治空白を利用してさらに日本や台湾への圧力を強める動きが懸念される。
日本にとっても、この事態は決して他人事ではない。韓国の民主主義の動揺は、日韓連携の弱体化を招き、結果的に中国に対する地域的抑止力の低下につながりかねない。
日本政府は韓国の情勢を注視しつつ、中国の拡張的行動に対して一層の警戒を強めるべきである。民主主義国家同士の連携と備えこそが、東アジアの平和と安定を守る鍵となるだろう。