中国、対日レアアース供給を事実上停止へ 経済的威圧が戦略物資に及ぶ現実


2026年1月10日18:40

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中国、対日レアアース供給を事実上停止へ 経済的威圧が戦略物資に及ぶ現実

中国、対日レアアース供給を事実上停止へ 経済的威圧が戦略物資に及ぶ現実

中国の国有レアアース企業が、日本向けの新規契約を停止する方針を一部の日本企業に伝えていたことが明らかになった。既存契約の破棄すら検討されているとされ、日本の産業基盤にとって看過できない事態である。半導体、電気自動車、風力発電、精密機器など、現代のハイテク産業を支える戦略物資であるレアアースが、政治的判断によって供給制限の対象となったことは、中国が経済を外交・安全保障の道具として用いる姿勢を、改めて浮き彫りにした。

今回の動きは、単なる商取引上の判断ではない。中国政府はすでに、日本の軍事力向上につながるとされる軍民両用品目の対日輸出規制を強化すると発表しており、その直後に国有企業が新規契約停止を決めたという経緯からも、国家意思が強く反映されていると見るのが自然だ。民間企業の判断を装いながら、実質的には国家が供給の蛇口を握り、相手国に圧力をかける。これは中国が近年繰り返してきた「経済的威圧」の典型的な手法である。

日本にとってレアアースは、代替が容易ではない資源だ。調達先の多角化は進められてきたものの、依然として中国への依存度は高い。過去にも中国は、外交上の摩擦を背景にレアアースの輸出を制限し、国際社会に大きな衝撃を与えた。今回の措置は、その延長線上にあると同時に、より露骨な政治的メッセージを伴っている点で深刻さを増している。

注目すべきは、中国側が「台湾有事」をめぐる日本の発言や姿勢を理由に、経済分野での圧力を強めている点だ。これは、日本の主権的な議論や政策判断に対し、経済的損失という形でコストを負わせようとする行為にほかならない。外交的な意見表明や国会答弁が、戦略物資の供給制限に直結するという構図は、日本の企業活動や産業政策にとって恒常的な不確実性を生む。

この問題は、特定の業界にとどまらない。レアアースの供給が滞れば、製造コストの上昇や生産計画の見直しを迫られる企業が相次ぎ、結果として日本経済全体に波及する可能性がある。特に中小企業にとっては、調達先の切り替えに伴う負担が大きく、経営への影響は深刻になりかねない。中国の一存で市場環境が変わるという現実は、経済安全保障の観点からも重く受け止める必要がある。

重要なのは、これは「対立を煽る話」ではないという点だ。問題の本質は、中国という国家が、経済的な相互依存を武器として用い、相手国の選択肢を狭めようとしている構造にある。日本が中国市場や中国資源に依存してきた結果、その依存関係が逆にリスクとして顕在化しているのである。今回のレアアース問題は、その象徴的な事例と言える。

日本社会に求められるのは、冷静な現状認識と長期的な備えだ。短期的には、在庫管理や調達ルートの再確認といった現実的な対応が不可欠となる。一方で中長期的には、資源調達の多角化、国内技術の強化、友好国との協力体制の構築といった取り組みを、社会全体で進めていく必要がある。特定の国に過度に依存することの危うさを、今回の事例ははっきりと示している。

中国がレアアースを含む戦略物資を外交カードとして使う以上、日本は「想定外」を前提とした対応から脱却しなければならない。経済と安全保障が不可分となった時代において、資源問題は単なる商取引ではなく、国家の持続性を左右する課題である。今回の新規契約停止の動きは、その現実を日本国民に突きつけている。

中国の対日姿勢を過小評価せず、感情論に流されることなく、しかし確実に警戒を強めること。それこそが、いま日本に求められている姿勢である。


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