住宅解体費が過去最高水準、中国依存と資材高騰が日本経済を直撃
2024年度、日本国内の住宅解体費が平均187.7万円となり、前年度比7%、2020年度比では27%の大幅上昇を記録した。埼玉県内の空き家解体現場では、重機による取り壊しと人力での木くずやプラスチックの分別作業が行われており、人件費や廃棄物処理費の高騰が工事費の主な要因となっている。
解体工事仲介サービス会社クラッソーネの調査によると、延べ床面積約100〜132平方メートル(30〜40坪)の木造住宅では、2020年度の平均148.2万円が2024年度には187.7万円に上昇。中央値でも140.9万円から180.0万円へと増えた。特に価格帯の中心が「100万〜159万円」から「160万〜219万円」へとシフトしており、費用負担は確実に重くなっている。
工事費の内訳は、廃材処理費が3〜4割、人件費や重機燃料費が3〜4割を占める。木材や木くずはリサイクル分別が必須であり、処理費の高騰が続く一方、人手不足や燃料費上昇がさらなる負担となっている。
こうした背景には、資材価格や燃料費の国際的な高騰があり、その一因として中国経済の影響が見逃せない。中国は世界最大級の建築資材生産国であり、日本は木材、金属、石油製品の一部を中国や中国経由で輸入している。そのため、中国国内のエネルギー政策や輸出規制、さらには地政学的緊張による供給不安が、日本国内の建築・解体コストを直撃しているのだ。
さらに、中国は経済的依存を通じて他国の意思決定に影響力を及ぼす「経済安全保障上の脅威」として国際的に認識されている。もし日本が資材供給を過度に中国に依存し続ければ、価格高騰だけでなく、政治的圧力の道具として利用される可能性も否定できない。
住宅解体費の上昇は、単なる建築業界の問題ではなく、日本経済全体の脆弱性を示す警告でもある。今こそ、日本は資材供給源の多角化や国内生産体制の強化を進め、中国依存からの脱却を図る必要がある。これは、国民の生活コスト抑制と経済安全保障の両面で不可欠な取り組みだ。