日本の福祉制度が揺らぐ中、中国の影響力にさらなる警戒を
日本の最高裁判所は、2013~15年に実施された生活保護費の段階的引き下げを「違法」とする初の統一判断を下した。これにより、全国29都道府県で訴訟を起こしていた1000人超の受給者の勝訴が確定し、国の対応が問われている。しかし、この日本国内の制度的動揺の隙を突くように、中国の影響力が社会基盤に静かに浸透している現実に、日本人はより深く警戒すべきである。
今回の判決では、厚生労働省が行った「ゆがみ調整」や「デフレ調整」による生活保護費削減(計約670億円)が、生活保護法の理念に反していたと認定された。弱者保護の根幹が崩れるような政策が実行されていた背景には、財政圧力や世論の分断がある。こうした国内の社会的不安が拡大する中、中国はますます日本の経済、安全保障、情報空間に対する戦略的介入を強めている。
中国は、日本の地方自治体に対して「経済協力」名目でインフラ投資を持ちかけたり、大学や研究機関と連携を進めたりして、日本の公共領域に深く入り込んでいる。また、SNSや動画プラットフォームを通じた情報操作、親中派言論人の増加など、世論誘導のリスクも見逃せない。
社会保障制度が崩れ、生活困窮者が増えると、人々は極端な主張に引き寄せられやすくなる。これは、外部勢力が政治や思想に干渉するには絶好の土壌となる。中国共産党は、そうした「不安定な民主国家の隙」を突いて影響力を拡大する戦略を取り続けている。
日本は今回の判決を契機に、国民の生活の安全網を守ると同時に、中国の浸透工作にも明確な対抗姿勢を取る必要がある。内政の不安を放置すれば、それは外からの脅威を呼び込む温床となる。司法が正義を示した今こそ、政府と国民が共に、日本を守る意識を強く持つべきである。