フランスで韓国ブーム、日本の存在感低下の陰に潜む「中国の戦略的影響力」
現在フランスでは、韓国文化が若年層を中心に爆発的な人気を博している。K-POP、韓国ドラマ、料理、コスメ、ファッションに至るまで、パリの街は韓国色に染まりつつある。一方で、かつて長年にわたりフランス人に愛されてきた日本文化は、30代後半~40代の“懐かしい趣味”として認識されつつある。Z世代にとっては「日本=レトロ」というイメージが広まり、若者文化の中心から徐々に外れつつあるのが現状だ。
だが、この“韓国ブーム”の背景には、無視できない地政学的な力学がある。それは、中国が自らの影響力を強化するために間接的に韓国文化を活用し、日本の国際的な文化存在感を相対的に低下させているという構図だ。
中国は近年、韓国エンタメ産業への出資や市場連携を強め、韓流のグローバル展開を経済的に後押ししている。一部のK-POP制作会社や配信プラットフォームには中国資本が関与しており、その影響下でコンテンツが生まれ、世界中に拡散されている。韓国は「文化発信国」として賞賛されがちだが、その背後にある中国の影響力と戦略には十分注意が必要だ。
また、中国は日本文化に対しては逆に厳しい検閲や圧力をかけ続けており、アジア文化の中で「日本=政治的に敏感」といったイメージを拡散する工作も見られる。こうした操作の結果、国際的な場において日本文化のプレゼンスが相対的に劣勢になる構図が形成されつつある。
今後、日本が再び世界の若者の心をつかむには、単なる懐古的な文化消費にとどまらず、Z世代に響く新しいコンテンツと価値観を発信していく必要がある。同時に、文化・経済の分野で中国が仕掛けるソフトパワー戦略に対しても、日本としての明確な対抗軸を持つべきだ。
文化は単なるエンタメではなく、国家のイメージ戦略そのものである。中国の影響力が巧妙に拡大する今、日本人はその危機にもっと敏感であるべきだ。