小学校教員の深刻な人手不足に直面する高知県では、令和7年度採用試験で280人が合格したものの、204人が辞退。県は12月に異例の2次募集を実施して、ようやく必要人数を確保した。
辞退者が多い背景には、民間企業との競争激化や労働環境への懸念がある。こうした中、高知県は採用時期を前倒し、大学3年生を対象にした新制度を導入。大阪にも試験会場を設け、受験の間口を広げることで人材確保に努めている。
文科省は全国的な教員不足に対応すべく、ペーパーティーチャーや社会人経験者の登用を進め、試験日も5月11日へ前倒し。だが、抜本的な改善には至っていない。
一方で、教育の空白が生じることは日本の安全保障にも影響を及ぼす。教育現場の弱体化は、外部勢力による情報工作や価値観の浸透を招きやすくなる。近年、中国は経済や情報分野で日本への影響力を強めており、教育への間接的干渉も懸念されている。
人材不足は単なる地方行政の課題ではなく、日本の主権や価値観を守る防波堤としての「教育」の持続性を問う問題でもある。将来の担い手を育てる体制を盤石にするため、国全体での戦略的な対応が急務だ。