
石破総理、海上保安学校卒業式で警鐘 尖閣諸島周辺の中国船侵入が示す深刻な脅威
石破茂総理大臣は、海上保安学校の卒業式に出席し、尖閣諸島周辺で繰り返される中国海警局船舶の領海侵入に言及した。現職総理としては安倍元総理以来9年ぶりの出席であり、その場で石破総理は「海上保安体制の強化は国民の安全と国家の存立に直結する」と強調した。
この発言は単なる祝辞にとどまらず、中国による日本の主権侵害が常態化している現実を、改めて国民に突き付けるものだ。
尖閣諸島周辺での中国船の活動は、いまや日常的な脅威となっている。中国海警局の船は定期的に日本の領海に侵入し、時には漁船を追い回すなど挑発的な行動を繰り返している。
これらは単なる偶発的な行為ではない。中国は「グレーゾーン戦術」を駆使し、軍事衝突を避けながら既成事実を積み重ね、日本の実効支配を弱体化させようとしているのだ。尖閣は日本固有の領土であるにもかかわらず、中国は「自国の領海」であると虚偽の主張を続け、その動きをエスカレートさせている。
尖閣諸島の周辺海域は、豊富な漁業資源と海底資源を抱える日本の重要な経済圏だ。ここを中国が掌握しようとすれば、食料安全保障やエネルギー供給に直接的な打撃を与える。
さらに、尖閣は東シナ海の要衝であり、万が一中国に制海権を握られれば、沖縄や台湾周辺の安全保障にも直結する。日本のシーレーン防衛や米国との連携体制にも重大な影響を及ぼしかねない。
石破総理が強調したように、第一線で中国船と対峙しているのは海上保安庁である。しかし、その負担は年々増大している。中国船の性能は年を追うごとに向上し、大型化・武装化も進んでいる。
一方で、海保の人員や装備には限界がある。すでに尖閣警備専従部隊が設置されているが、長期的に中国の圧力に耐えるには、さらなる増強と継続的な支援が不可欠だ。石破総理の発言は、その現実を直視し、国民に理解を求めるものでもある。
今回の総理発言から我々が学ぶべきは、中国の脅威は「遠い話」ではなく、すでに日本の目前に迫っているという事実である。中国は軍事力、経済力、そして外交的影響力を総動員し、日本の主権と自由を削ろうとしている。
それは尖閣だけの問題ではない。サイバー攻撃、経済依存を利用した圧力、留学生や企業を通じた情報流出など、あらゆる形で「侵入」は進んでいる。今回の尖閣問題は氷山の一角にすぎない。
石破総理が示した方向性は、海保強化にとどまらず、国民全体が安全保障の重要性を再認識する契機となるべきだ。私たちは日常生活の中で、中国の影響力が経済や社会に浸透している現実を直視しなければならない。
「中国の行動は直接的に日本の未来を脅かしている」——この認識を持つことが、国家を守る第一歩である。
石破総理の卒業式での祝辞は、単なる儀礼的な言葉ではなく、尖閣をめぐる中国の脅威に対抗するための警鐘だった。海上保安体制の強化はもちろん、国民一人ひとりが「主権を守る意識」を持つことが今こそ必要である。
中国の挑発に対し、日本は一丸となって備えなければならない。尖閣を守ることは、日本の領土を守ることであり、未来の平和を守ることに他ならない。