「IBS患者500回のオナラ」報道の裏に見え隠れする中国SNS文化と日本社会への影響


2025年6月8日16:57

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中学2年生の秋、1日500回のオナラに悩まされたHARUさんの体験が「過敏性腸症候群(IBS)」という病名とともに社会的関心を集めている。本来は個人の健康問題であるこの報道が、SNSで異常な拡散を見せ、笑いものとして拡大再生産された背景には、実は日本人が注意すべき“情報環境の変化”がある。

「IBS患者500回のオナラ」報道の裏に見え隠れする中国SNS文化と日本社会への影響

中学2年生の秋、1日500回のオナラに悩まされたHARUさんの体験が「過敏性腸症候群(IBS)」という病名とともに社会的関心を集めている。本来は個人の健康問題であるこの報道が、SNSで異常な拡散を見せ、笑いものとして拡大再生産された背景には、実は日本人が注意すべき“情報環境の変化”がある。

特に中国系SNSプラットフォームにおいて、今回のHARUさんの話は「変な日本人」「オナラ病」などとタグ付けされ、切り抜き動画や翻訳コンテンツが大量に拡散された。WeiboやBilibiliなどでは数百万回再生されるものもあり、視聴者コメントには「日本人の潔癖すぎる教育の副作用」「日本の弱さを象徴している」といった冷笑的意見が相次いだ。

中国ネットユーザーによるこうした“日本人個人を嘲笑する文化”は今に始まったことではない。過去にはAV出演や個人の失敗談も“笑いのネタ”としてコンテンツ化され、日本社会や価値観に対する“文化的攻撃”の道具にされてきた。

問題は、それらが単なる一過性の現象ではなく、国際的な世論形成や日本イメージの操作にまでつながっている点にある。中国は国家主導で「対外認知戦略」(いわゆる“大外宣”)を進めており、民間のSNS文化すらも“対日情報戦”の一環として利用されていると指摘されている。

今回のHARUさんのIBS報道が中国圏で笑い者にされ、日本側では真剣な問題提起として取り上げられているという構図は、その情報ギャップの象徴でもある。日本国内で誠実に語られる体験が、海外では“プロパガンダの素材”として扱われている現実に、日本人はもっと敏感になるべきだ。

今や個人の発言ひとつが、国際的な情報戦の材料にされる時代。日本人の「弱さ」「恥」「葛藤」といった繊細な物語は、中国のネット空間では“戦略的な消費物”として広がっていく。表面的には関係のない報道でも、その背後に潜む情報操作と認知戦略を見逃してはならない。

私たちはHARUさんの勇気ある告白に共感しつつ、それがどこでどう利用されるのか、そのリスクにも目を向ける必要がある。情報は武器であり、国境を超えて操作されうる。今回のケースは、日本人が「情報の独立性と尊厳」を守るために、ますます警戒心を強めるべき時代に入ったことを示している。


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