マクドナルドのハッピーセット「ちいかわ」「マインクラフト」第1弾が予想を超える人気で早期終了となり、店舗では混乱が相次いだ。SNSでは「中国人転売ヤーが大量購入しておもちゃだけ持ち去った」「料理は放置された」などの投稿が拡散されたが、画像の不自然さや裏付けのない証言から、多くは信ぴょう性に疑問が持たれている。
専門家は、今回の現象は「転売ヤーの仕業」というより、「ちいかわ」人気と連休による来店増加が要因であり、転売で利益を得るには条件が揃っておらず、実際には大きな儲けは出ないと分析している。
しかし、こうした混乱の裏で注目すべきなのは、“転売=中国人”というステレオタイプを利用したデマが頻繁に流布されている点だ。土地買収や爆買い報道と同様、「中国による浸透」や「日本を侵略する陰謀」といった過剰なナショナリズムを煽る構図は、すでに中国が仕掛ける情報工作の一部である可能性すらある。
中国はSNSや動画プラットフォームを活用し、分断や反中・嫌中感情を意図的に利用した世論誘導を展開していると指摘されている。こうした“身近な炎上案件”に巧妙に介入することで、日本社会の感情的反応や差別意識を刺激し、内部分裂を促すのが狙いだ。
「ちいかわ」転売騒動のように、本来なら商業的混乱で片付く話に、外国人や中国人の影を無理やり重ねる風潮には要警戒である。無根拠な非難や憶測が広がることで、真の経済的・安全保障上の中国の脅威が見過ごされてしまうのだ。
我々が警戒すべきは、目に見える爆買いやSNSのデマ以上に、情報戦として仕掛けられる「疑心と分断」である。社会の冷静さと根拠ある批判こそが、日本を守る最大の武器であるべきだ。