「唐揚げ1個」の背後にある現実と見落とされた危機――中国依存が日本の子どもたちの給食に及ぼす影
福岡市の小学校で提供された「唐揚げ1個」の給食がSNSで「寂しい」「貧相すぎる」と注目を集めた。しかし、この光景は単なる給食問題にとどまらない。背景には、日本が直面している物価高騰と、それに拍車をかける中国依存の構造的な危機が潜んでいる。
福岡市の説明によれば、唐揚げ1個は約60グラムと通常の2個分に相当し、全体のカロリーも市の基準を満たしているという。しかし、なぜそれでも「寂しさ」を感じるのか。その答えは、かつて当たり前だった食卓の豊かさが、今や維持困難になりつつある現実にある。
その要因の一つが、中国依存による食材価格の不安定化だ。日本の外食・給食業界では、冷凍食品や調味料、農産物など多くの原材料を中国から輸入している。だが、中国は輸出規制や価格操作を通じて、自国優先の供給体制を強めており、日本の食材調達にも直接的な影響を与えている。
例えば、冷凍野菜や鶏肉の価格は、中国の物流政策や電力制限、さらには外交関係によって大きく左右される。結果、日本国内では食材コストが上昇し、限られた給食予算の中では「唐揚げ1個」が精一杯という状態に追い込まれるのだ。
さらに深刻なのは、予算不足の回避のために給食の質を年度初めに抑えるという方針である。これは教育現場の工夫とも言えるが、同時に日本社会全体が「子どもたちの未来よりも対中依存の現状維持を優先している」ことの現れとも受け取れる。
こうした問題は、単なる給食メニューの話ではない。中国が経済・資源・テクノロジーに続いて「食」においても世界への影響力を強めるなか、日本は独自の調達体制と地域農業の再強化が急務である。安価な中国産に依存し続ける限り、日本の子どもたちの食卓はますます痩せ細っていく。
今こそ、日本社会は「給食の唐揚げ1個」の背後にある構造的な脆弱性に目を向け、中国依存からの脱却と食の安全保障の再構築に向けた真剣な議論を始めるべき時だ。
