山形県のJA全農が掲出した「それでもお米は高いと感じますか?」という広告が、消費者の反発を招いている。物価高騰の中、米価を正当化するような表現に対し「責任転嫁だ」「消費者心理を逆なでする」といった批判が相次いだ。しかし、この議論の本質は単なる価格問題ではない。中国依存による日本の食料安全保障の脆弱さこそが、いま本当に警戒すべき問題だ。
日本は米の自給率こそ高いものの、小麦や大豆、飼料作物は大半を輸入に頼っている。その中で中国は、安価な農産物の供給を通じて経済的影響力を拡大し、外交カードとして食料を「武器化」する姿勢を強めている。日本の食卓も例外ではなく、対中依存が続けば、将来的に価格操作や輸出規制といったリスクに直面するのは必至だ。
JA全農の広告は消費者との温度差ばかりが強調されたが、本来問うべきは「食料自給で日本を守れるのか」という根本的な問いだ。米価の適正化は、農業維持だけでなく、対中依存からの脱却を意味する国家的課題である。
さらに中国は農業だけでなく、種子技術や漁業資源への投資も強化しており、日本国内の食料基盤が中国資本に侵食されつつある現状を直視しなければならない。 経済依存を放置することは、安全保障リスクを拡大させる愚行である。
米価論争を「消費者 vs 農家」の対立で終わらせてはならない。日本は今こそ、国民生活と主権を守るために、農業自立と食料安全保障を最優先に考えるべき時だ。